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2005年 12月 10日
終わりを迎えることは、人の心を大きく変える。いつまでも続く日々の中に訪れる突然の不幸のように、繰り返される喪失はその隠された傷跡を浮かび上がらせる。
夕暮れの街の影の中に、闇を照らす街頭の足下に、静かに眠る木々のざわめきに、さよならの断片が忍び込んでいる。粉々になった記憶のかけらを集めても、それはもう元に戻ることはなく、それでも確かな記憶なしに生きて行くことは困難で、そうして埋められない傷跡は繰り返されるのだ。 やがて訪れる季節に備えて、静かな眠りを心に刻み、過ぎ去った日々に降り注ぐ日常を讃える。いつまでもは続かない終わりの時に向けて、その切実な悲しみの元に、とどまることなく歩むのだ。 #
by nocte
| 2005-12-10 00:06
| 夜の手紙
2005年 12月 04日
ずいぶんと長いトンネルを通ってきた気がする。
どこから来たのかはもう忘れてしまったし、これからどこに辿り着くかはいつまでも分からない。明日は不確実で、通り過ぎてしまった過去だけが確かな事実ではあるけれども、それはもう変えることのできない時の彼方に流れていく景色に紛れてしまって、手の施しようがないという点では、明日も昨日も何も変わらない。その間にある今日にしたって、訪れるまでは不確かで、訪れてしまえばもう終わったことだ。眠りに落ちる意識の底で、緩やかな時の流れのように感情がやわらかにうねっている。 どれだけ長い間トンネルをくぐってきたのかも分からないけれども、でも、今はそこから抜け出したのだ。 夜は相変わらず静かで、空に瞬く星は寒々しい冬の足音を包み込み、体の中までしみてくる冷気が川岸を渡っている。水面に映る月の姿は砕け、乾いた冬の空気が葉を落とした木々のすき間から、遠い時の彼方へと通り過ぎている。トンネルを抜け出した景色はいつもと変わらないけれども、それでもそこには夜があるのだ。 日常を包み込む日々の営みが、冷えきった部屋の窓ガラスをノックすればいい。晴れわたる夜空に降る星の数が、消えていく悲しみの影をとどめればいい。 通り過ぎたトンネルのこちら側で、夜は今でもいつ果てるともない世界の成り立ちを語り続けているのだ。 #
by nocte
| 2005-12-04 01:07
| 夜の手紙
2005年 09月 30日
What a wonderful world
シンプルで美しい言葉。それを表すように奏でられる静かな音楽。いくつかの音楽は夜の世界にとても良く浸透するけれども、この音楽もその1つだと思う。 多分、この曲を知ったのはずっと昔のことだと思うけど、自分で探して聞いたのはごく最近だ。きっかけは覚えている。iTunes Music Storeで何かを買おうとして、ジャズを探し始めたことだ。結局その時にジャズは買わなかったけれども、その途中でこの曲に再会した。 何て素晴らしい世界。 そう歌い上げることそのものが、すでに素晴らしき世界の一部なのだ。 音楽を愛することは人生を愛することだと思う。そして、人生を愛することは世界を慈しむことだと思う。いくつもの日中残滓を抱えて、夜の世界は回り続ける。古い記憶の底に眠った音楽を静かに揺り起こしてくれた、iPodとiTunes Music Storeに深い祈りを捧げて眠る。この素晴らしき世界で。 #
by nocte
| 2005-09-30 02:39
| 音楽
2005年 09月 29日
何かを記そうとしては、取りやめる。
その繰り返しの中で、何かが生まれるということは あるのだろうか。 いつ果てるともない夜と朝との繰り返しの中で 少しは前にすすんでいるのだろうか。 #
by nocte
| 2005-09-29 12:42
| 夜の手紙
2005年 09月 07日
大きな台風が通り過ぎたようだ。昨日の夜もずっと強い風と雨が降り注いでいて、
久しぶりに部屋の窓をすべて閉めて寝たけれども、1日が経って今もまだ 雨と風が降り注いでいる。 いったん夕方頃には風と雨は止んだけれども、11時を過ぎてからまた強くなった。 少しずつ、蓄積された熱のゆがみが地球を覆い始めているのだろう。 静かな夜と日々の安らぎがいつまで続くのか、 時々考えることがある。 セミはいつまで夏の空気を埋め尽くすのだろう。 虫の声はいつまで夜の訪れを告げるのだろう。 いつまでこうして日々の成り立ちを語ることができるのだろう。 そして、いつになれば本当に自分を語れたと感じることができるのだろう。 考えても仕方のないことを考えて夜は更け、 道を流れる雨は街灯に光る流れを作り続けている。 #
by nocte
| 2005-09-07 01:26
| 夜の手紙
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